とある建築家の設計したデザイナーズマンションに引っ越してきた施主は、自身の持ち物を置く場所に困り果て、いくつか収納を作って欲しい、と依頼をしてきた。
　本のための本棚はここへ、洋服のためのラックはここに、作業のできる大きな机も欲しい、と特定のものの居場所や用途を設計していくうちに、やがて一連の帯として、機能が渾然一体となったものの置き場としての家具が出来上がった。
　全長8mのこの家具は、ご飯どきには全体が細長い調理台や食卓として機能し、日中には長いテーブルとして機能する。ステンレスによって仕上げられた天井と天板によって玄関からテラスへと光のリレーが起こり、無機質なコンクリートを明るく照らしながら、外の気配を内部へ取り込んでいく。