top of page
空っぽでいられる間展
Koenji,Tokyo 2020
喫茶店の工事が、事情により1 カ月先延ばしになったことで、現れた空白の期間。スピード勝負になることが多い内装設計において、贅沢とも言えるこの状態を生かした絵画展を開催した。
展示壁は、内装の設計検討として、実寸大の模型を設計・製作した。実際と同じ場所に、実際と同じ大きさで建築を建てることで、小さな模型では確認し得ない、身体感覚に基づく検討を行った。それによって、身体に合わせた細かな寸法調整だけでなく、そこに訪れる人々の動きや、外部の環境が入り込んだ「時間の流れる模型」として、空間体験そのものの検討が可能になった。
建築家にとっては模型、作家にとっては作品の背景、キュレーターにとっては展示計画のきっかけとなるその壁は、それぞれの目的に合わせて思い思いに使われていく。展示空間が、検討模型という側面を持ったことで、自由に手を加え、変更していくことがむしろ自然となる。未完成が許される空間の中で、共に試行錯誤するうちに、気づけば、それぞれが自分の役割を超えて展示を作り上げていった。
佐藤熊弥(キュレーター)/ 黒坂祐(作家)/ 奥誠之(作家)
/iii architects(建築家)
bottom of page